後ほねっこ男爵領

ヲチ藩国民慰霊の碑 除幕式

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atohone

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ヲチ藩国民慰霊の碑 除幕式


南天リポーター:
 こんにちは、ほねっこTVレポーターの南天です。
 本日は後ほねっこ男爵領、長距離システム「かぐや」のトーゴ線前よりお送りしております。
 前ターンで起こった悲劇を胸に刻もうと、T11から準備していた慰霊碑の除幕式が執り行われております。
 まもなく、藩王のスピーチが始まります…。
 この かぐや祭りが彼らの魂を慰める事を願ってやみません。



藩王のスピーチ

 すでに報道で明らかにされたとおりに、ここで先日未曾有の悲劇が起こりました。誇り高き帝國の同胞、ヲチ藩国の国民がおぞましい手段によってゆがめられ、形を変えられてかぐやを襲ったのです。同じ犬の旗のもとに集い理想を掲げてきた民が、その根源的な尊厳である自由意志、自己同一性すら失わされ戦闘機械として帝國臣民を襲撃する。
 その非道、おぞましさは形にすることも、伝えてゆくことも困難です。
 みなさん。今、私たちの間にあるのは悲しみでしょうか? 憎悪でしょうか? 恐怖でしょうか?
 許せぬ技で人の尊厳を無へと変えた存在への怒りでしょうか?
 おそらく、そのいずれとも異なり、いずれをも内包した混沌が我らの胸の中に渦巻くものでしょう。そして、その混沌のあらゆる側面が我らの心を乱れさせるのです。

 ただし、今。今このときだけは。その混沌を胸の奥に沈めて頂きたい。
 不幸も悲劇も悪行も、いずれの理由をも求めることはやめ、尊厳を奪われて死んでいったヲチ国の藩民のために思いをはせて頂きたい。

 それを祈りと呼んでも構わない。
 それを鎮魂と呼んでも構わない。
 あまたある救いの宗教のいかなる形でも構わない、ここに数万の無辜の民が人としてでなく死んでいった、その事実について思いをはせて頂きたい。

 後の歴史にて、この事件にいくつもの意味が重ね合わされるでしょう。己の望む結論のために幾通りもの解釈が施されるでしょう。それは月日という名の手当によって、忘却という名のかさぶたがこの傷口を覆ったと言うこと。わずかなりとも傷が癒えたという証なのかも知れません。
 しかし、今私たちはこの傷を覆うわけにはいかない。
 過ちを繰り返さないために、繰り返させないために。
 この事件が何だったのか、何故起きたのか。
 彼らが倒れ、我らが立っている、そのことの意味を考えなければならないのです。

 私たちは記憶していなければならない。
 数万の人民が形を変え、同胞を撃つ。そのことを知らずして、同胞は迎え撃つ。
 悲劇と言うには余りに重すぎる、このできごとを記憶してゆかなければならない。

 この碑はそのための楔です。
 いつか必ず、このできごとに答えを見いだすための、
 激情に流されることなく、歴史の中に答えを見いだすための、
 我が身、我が肉、我が心に深く打ち込まれる楔なのです。

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