後ほねっこ男爵領

家庭の守り人

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atohone

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家庭の守り人

                   

家庭の存在

ほねっこの家庭の特徴として、数世代同居がある。
祖父母が、父母が、子供夫婦が、孫夫婦が同居している家庭も珍しくない。
逆に一人暮らしの世帯が珍しがられるという、他国から見れば驚かれる特徴だ。
だからと言って一人暮らししている世帯が皆無とは言えないが、それはかなり稀だ。

極寒とも呼べるこの国の冬は寒い、雪が多いという言葉では足りない。
身を切るような凍てつく冬の大気と、大人の背を容易く越えるほどの雪が降るこの国の日常に於いて、
一人で生きていくのは並大抵の事ではないからだ。

その寒さに耐えて今日のほねっこがある理由としては、何よりも家族の存在があった。

まだ暖かい昼には雪の中で作業をしたり、学校に通ったり仕事に行ったりしている。
気温がさらに冷える夜には暖炉の前で身を寄せ合い母親が作ったシチューやスープで身体を温める。
昼間の出来事をそれぞれに話しあう。困ったことがあれば相談し、時には祖父母の昔話に耳を傾ける。
時には国内で流行しているTRPGや祖父母世代で流行ったゲームなどが行われる。
隣に寄り添う犬の毛並みを整えたり、その後またもふもふしたりする。
ほねっこの子供たちは、祖父母の話から何が生きていくのに大切で、何がいけないのかを学んでいく。
生きた知識は書物で得る知識よりも心に染み込み、成長するときに大きく役立つ。
逆に老人たちも子供たちと話をすることによって、自分が知らなかった新しい世界を知る。
笑って、泣いて、喧嘩して、また笑って。
毎夜繰り広げられるそれぞれの家庭の日々が、厳しい寒さに耐える為の心の糧となる。
身体だけではなく心の温もりが何よりも人を強くするのだ。


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ほねっこでは成長して家から通うのが困難な場合などの場合のみ職場の独身寮や共同住宅に入ることが多く、
個人で住居を構えるというケースが少ないだけである。
ほねっこ政庁の独身者も、多くは独身寮に入りそこから各部署へ通う場合が多い。
独身寮も単独で生活できるスペースはあるが、大抵夕食後には新たに作られた多目的ルームにいることが多い。
お菓子や軽食を持ち寄ってはお喋りに花を咲かせたりすることが大抵であるが、
時々藩王がサプライズで登場しゲーム大会を開催することもある。
その時は大抵じょり丸様もやってくるので賑やかな場所はますます賑やかになる。

同じ屋根の下で、同じ釜の飯を食べる。
誰かが落ち込んだり目を@@させていれば、誰かが心配して声を掛ける。
誰かが嬉しいことがあれば、その話を聞いて喜ぶことが出来る。
元々赤の他人であった者同士でも、だんだん家族のような存在になってくる。

多目的ルームは男女寮共通なので、そこから出会い結婚に至る男女も珍しくなかった。
(噂では書記長さんの出会いも寮だったという噂もあるが、どこまでが真実かどうかは謎である)
結婚すれば独身寮を出て家を持つか実家に戻る、もしくは家族寮へ入る者が殆どだ。
寮を改修した時に家族寮の需要が多く現在でも戸数は伸びており、今後も増えていくだろう。


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ほねっこの民の家族というのは、血の繋がったものだけを指す訳ではない。
古い昔話の時代より、「吹雪の時、戸を叩く客人は迎えてもてなせ」という慣わしがある。
そんな中をわざわざ訪ねてきた客人を歓迎こそすれ、民を叩き出すということは、死ねというのと同義だ。
他国の民にその話をすると決まって尋ねられることがある。

「その客人がもし強盗だったらどうする?」

そんな質問にほねっこの民はにこりと微笑んでこう返すのだ。

「ほねっこの吹雪って言うのはな。
 体温の全てを、視界の全てを、感覚の全てを失うんじゃないかと思う程だ。
 生と死の最中にあって、招いてくれた家庭に恩義を感じこそすれ強盗を働こうとは思わなくなるのさ」

それが当然とばかりの返事に尋ねたほうが黙ってしまうのがしばしばである。
ほねっこの中のみでの常識に思われがちだが、実際にほねっこの吹雪はそこまで厳しいこともあり冗談とも言い
難いのだ。老人たちによれば、滋賀から大分に国が移った時はもっと酷かったという話もある。

それ故に一夜の宿を求めて戸を叩く旅人には、戸惑うことなく迎え入れ持て成す。
卓を囲んで、旅の話を聞き旅人もまた話を聞く。
その温かなもてなしは寒さに疲れた旅人を癒し明日への活力をまた生み出すという。
一夜の宿に恩義を感じた旅人が再びこの国を訪れた際には、また同じ家を訪れ、家族のようにもてなすようになる。
両親の姿を見た子供が成長してまた同じようにもてなし、何代にもわたって交流を築く場合もある。
普段は小動物とも言われる国民性故に警戒心も強いが、自分達の懐に入った人々に対しては手厚くもてなすのだった。




小動物の大冒険(摂政ユーラの手記より)


後ほねっこ男爵領の国民はよく「小動物」と称される。
よく言えば慎重で堅実。悪く言えばビビりで冒険嫌いである。
その性格は設定国民にも引き継がれており、それゆえほねっこでは、いわゆる爆発は起きていない。

もっともそれは自爆はないというだけで、過去、敵の襲撃による被害は少なくなかった。
それは小動物な国民性ゆえに、強力な兵器や軍隊を進んで持つことがなかったためでもある。
しかし、ほねっこへの攻撃は避けられないという局面にあって、対応は不可欠となる。

そこで、ほねっこは建国以来最大の大冒険に出ることとなる。
それこそが、いまやほねっこを象徴する存在となった「巨大迷宮」である。

当初その計画は冗談のように扱われていた。
なにせ国民を全員、国を丸ごと地下深くに避難させるというのである。
物理的な問題に加え、地下という環境が与える影響、遺跡の存在といった様々な問題もあった。
それでもリスクは覚悟の上と、知恵を絞って対処法を考え、実行に移したのである。

まさに、大冒険だった。

冒険嫌いのほねっこがこんな大冒険に挑んだ理由はなんだったのか。
それは意外にも冒険嫌いの国民性、小動物性ゆえであった。
慎重で堅実、派手な活躍よりも日々の生活を重んじる国民性ゆえに、
攻撃が来るとわかっている状況で国民の生活を守るには、全員で避難するしかないと考えたのである。

そして、この計画は無事に成功を収める。
地下での長期にわたる生活が及ぼす影響は、暖かな家庭の力で抑えられた。
暖かな家庭の存在も、日々の生活を大事にする国民性の賜物であった。

小動物な国民性ゆえに、国ごと地下に避難するという大冒険を選択し、
小動物な国民性ゆえに育まれた暖かな家庭が、その大冒険を成功させたのである。

因果というのは実に不思議なものである。


たしかに小動物な国民はちょっと臆病でぐるぐるしやすい。
けれども、藩王やじょり丸様がいれば大丈夫。
困ったとき、大変なときはみんなで協力し助け合える。
家族や仲間を護るためなら勇敢に戦うことだってできる。
それにみんな犬が大好きだ。


だから、小動物な国民性だって決して悪くない。そう思うのである。



SS(読み物)

引越しの準備の最中、棚から出てきたのは何冊かの古いアルバム。
少し色あせた表紙は年月を感じさせ、私は手に取って表紙を開く。

「わ……」

思わず声が上がる。
そのアルバムには懐かしい写真がいくつも収まっている。
一番最初にあったのは若かりし頃の母が赤子を抱いている写真。
写真の下には日付が書き込まれており、それを見れば私が産まれた日だと気づく。
母の隣で照れくさそうにしているのは父なのだろう。

だとしたらその赤子は私なのだろう。次の頁をめくる。
私と妹、その間にはフロイ。5歳の頃に父がうちに連れてきた犬であり大切な家族の一人だ。。
子供がある程度育ったら生き物を飼うと、情操教育にも良いという話がある。
その相手にとっては犬が最も相応しいと国民の多くは思っており、
ほねっこの国民は、王犬じょり丸様ラブ!! な国民性が故に殆どの家庭で犬を飼うことが多いのだ。
フロイも例に漏れず、私と妹との弟して共に育った。
薄茶色の毛並みをブラッシングし、その後にまた毛並みに顔をうずめもふもふするのが好きだった。
私と妹とフロイは毎晩祖父母の話を聞くのも好きだった。
楽しい話もあったが怖い話を聞いたときはその日の晩には眠れなかった。

その下には小学校の入学式の時の私が居た。
母が買ってくれたピンクのワンピース。
普段は着ることのないスカートが嬉しくて、前の日からドキドキして寝付けなかった。

写真一枚一枚に幾つもの思い出が詰まっている。
家族みんなで旅行に出たときのこと。
迷子になったとき父が探しに来てくれた。母と一緒に初めてバレンタインのケーキを作った。
妹と喧嘩をしてふてくされた。
祖父と一緒に畑で見た夕日。祖母から浴衣の縫い方を教わった。
フロイと一緒に過ごした夏休み。友達と一緒にスキーに出かけた冬休み。
祖父母が亡くなった時のこと、私が就職を決めたときのこと。

時間が経っていることすら忘れて、私は写真に込められた記憶を一つ一つ思い起こす。
写真は時間が経ってところどころ色あせている物も多いが、その中に込められた想い出は今でも色鮮やかに蘇る。
辛い事も苦しい事も沢山あった。
けれどそれを上回る程の楽しさを、嬉しさを私は家族と過ごすことによって得てきたのだと思う。
私は家族から、周囲の皆から沢山の愛情を与えられてここまで生きてきたのだ。



「まだ準備終わらないの?」
声を掛けてきたのは母。
辺りを見ればすっかり薄暗くなっており、写真に見入っていたせいか引越しの準備は進んでいないことにはた、と気づいた。
ごめんね、ちょっと懐かしいものを見つけてと返事をすれば母は小さく溜息を付きながら私の部屋に入ってくる。
私が手にしていたアルバムを見せれば母も懐かしそうに目を細めた。
「本当にねえ、こんなに小さかったのに結婚するだなんて、年月の経つのは早いのね」
「そうね」
私は来週結婚して、この家を出る。
その事に不安がないと言えば嘘にはなる。長年住み慣れた場所から、これまでとは違う新しい家に入る。
本当に大丈夫かしら? と不安を見せる母に私は笑って返す。
「大丈夫。私は結婚してもお父さんとお母さんの娘よ」
パタン、とアルバムを閉じた。


これから私は新しい家庭を持ち、家族が私に愛情を注いでくれたように家族を愛し守る。
私の祖父母が私の両親を愛し、その両親が私達を愛してくれた。
だから私も自分の夫やいつかは生まれる子供や孫を大切にし、愛情を注いでいくだろう。
私一人では出来ることなど限られているが、それを未来に繋げていくことは出来ると思いたい。
ただその気持ちを表立って声に出していくことは、気恥ずかしくて出来ない。
だからこそ私を取り巻く人々への感謝をそっと胸に秘め、私は新たな生活へと向かっていくのだ。



                   



文章:たらすじ・ユーラ/イラスト:瑛の南天・いも子/設定協力:火足水極




一般性能開示

L:家庭の守り人 = {
 t:名称 = 家庭の守り人(人)
 t:要点 = 小動物的な,集まり,ちいと背が低い
 t:周辺環境 = 世界の終わり
 t:評価 = 体格2,筋力2,耐久力7,外見2,敏捷1,器用2,感覚1,知識1,幸運4
 t:特殊 = {
  *家庭の守り人の人カテゴリ = 高位人アイドレスとして扱う。
  *家庭の守り人は根源力25000以下は着用できない。
  *家庭の守り人は一般行為判定を伴うイベントに出るたびに食料1万tを消費する。
  *家庭の守り人は魔力の影響を受けない。
 }
 t:→次のアイドレス = 家庭の守り神(職業),短剣つらぬき丸(アイテム),ほねっこ団子(職業),犬使い(職業)
}
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