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目次
戦闘車両
戦車
近代~現代にかけて陸戦の主役となる戦闘車両。陸戦の王者とも。
強固な装甲と、不整地での機動力に優れる履帯(キャタピラ)を一般に足回りに持ち、大口径砲を一般に主武装とする。
黎明期の頃は塹壕戦における機関銃陣地の突破と歩兵の掃討を目的としたが、技術向上に伴い戦車対戦車の構図となり、現代では対戦車任務はもとよりトーチカなどの構造物・建造物の破壊、部隊における歩兵の盾役、市街地の警備など幅広い活躍をしている。
対戦車兵器の向上に伴い高コストの戦車は不要とする戦車不要論もあったが、
- 対戦車ミサイルに対して汎用性に優れ、また砲弾自体は比較的安価である。
- 攻撃ヘリは滞空時間・天候状況による制約があり、また航空攻撃では地上戦力は殲滅し切れない。
- 地上戦闘における歩兵の盾には、歩兵戦闘車程度の装甲では力不足である。
- 視界が限定されるために市街地でのゲリラ攻撃や仕掛け爆弾に弱いが、随伴歩兵などで解決できる。
以上のような点から否定され、また近年のイラク戦争などで戦車の有用性が証明されたこともあり、世界中の陸軍で現在もなお主力兵器として君臨している。
しかし生産費用が高く、重装甲のため故障しやすく整備性も悪い。燃費も悪いことから燃料代がかかるなどのデメリットもある。
また対空戦車などの派生型や携行地対空ミサイルなどはあるが、基本的に地上戦に特化しており対空戦闘は不得手である。
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余談 |
なお戦車は英語で『Tank』と言うが、開発を行ったLand Ship委員会を「Tank Supply(水槽供給)委員会」として秘匿にしたことが戦車の語源(Tank)になったとする説、開発名称自体が"Tank"という秘匿名称で、それが広まったという説などがある。
ちなみに英語圏とロシア語圏ではTank、ドイツではPanzer、フランスでは古代戦車の"Chariot"からChar、イスラエルでは古代ヘブライ語の戦車からmerkavaと呼ばれる。また中国では古代戦車を戰車と呼び、日本で言う近代戦車にはTankの発音をさせる坦克という字を当てている。
さらに余談だが、ドイツ戦車で良く出る接頭語のKwKはKampfwagenkanone=戦車砲。Sd.Kfz.=Sonderkraftfahrzeug=特殊車両(戦車等)。Kfz.=Kraftfahrzeug=非装甲・非武装車両(トラック等)。Sd.Ah.=Sonderanhanger=特殊トレーラー(戦車回収車等)という意味。
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第一次世界大戦~
WW1の長期化の一因にもなった塹壕戦に対抗する兵器として、塹壕を乗り越え歩兵の進路を切り開き、敵陣地を掃討できる火力を持った装甲車の開発が急がれた。従来はこうした任務は騎兵のものだったが、機関銃で固められた陣地に騎兵は非常に不利だった。
その結果、イギリスで1916年に初の実践的な戦車『Mk1(マークⅠ)』が開発された。同年のソンムの戦いで初投入された時は大した戦果を得られなかったが、後のカンブレーの戦いで大量に投入され、その有用性を示したとされる。
その後1918年に開発されたルノー社製FT-17軽戦車は世界各国の戦車開発に大きな影響を与え、今日の戦車の礎となった。
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特徴 |
この時代の戦車の特徴は、
- 初期のものは塹壕を乗り越えるため側面全体に及ぶ巨大な履帯を持っていた(菱形戦車)。このスタイルから本格的に脱し始めるのは1920年代に入ってから。
- 対戦車戦闘は歩兵の担当であり、戦車は対歩兵、対陣地攻撃が主な仕事だった。(その為、短砲身で榴弾装備のものが多かった)
- 装甲が十分なものでなく、また戦術が確立されていなかったため歩兵の近接攻撃には非常に弱かった。
- 登場したばかりの兵器なので、各国で研究される中で様々な戦車のタイプが生まれることになる。
名前 |
Mk1戦車(重戦車) |
開発国 |
イギリス |
登場時期 |
1916年 |
主な兵装 |
40口径6ポンド戦車砲2門、8mm重機関銃4門または8mm重機関銃5門のみ装備 |
重量 |
28.5t |
速力 |
5.95km/h |
装甲 |
6~12mm |
乗員 |
8名(銃座4名、操縦2名(内1名兼指揮官)、ギアボックス1名、ギア操縦2名) |
機関 |
液冷ガソリン105hp |
備考 |
いわゆる菱形戦車。塹壕を乗り越えるため巨大な履帯を装備した |
参考 |
Wikipedia、戦車研究室 |
名前 |
FT-17軽戦車 |
開発国 |
フランス |
登場時期 |
1918年 |
主な兵装 |
21口径37mm戦車砲または8mm重機関銃(M1914)1門 |
重量 |
6.5t |
速力 |
7.6km/h |
装甲 |
最大16~22mm(型により異なる) |
乗員 |
2名 |
機関 |
直列4気筒液冷ガソリン39hp |
備考 |
その後の戦車の雛形。旋回砲塔や優れた機動性など非常に革新的だった |
参考 |
Wikipedia、戦車研究室 |
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第二次世界大戦前~終戦
WW1で莫大な戦費がかさみ、さらに1929年10月24日に始まる世界恐慌も相まってWW2まで間、各国の戦車開発はその縮小を余儀なくされた。
その結果研究が進まず、試行錯誤の中で生まれた多くの戦車は後にイロモノ戦車と評されてしまう。
その後WW2の勃発で実戦が重ねられ、各国は実戦向きの戦車を次々と開発していくことになる。
またWW2でドイツ装甲師団の戦車の集中運用により戦車VS戦車という構図が作られ、それまで歩兵が行っていた対戦車戦闘を戦車自身が行うようになった。特にドイツのⅢ号中戦車は開発時からHeinz Wilhelm Guderian中佐により対戦車戦闘を想定して作られた先駆け的存在となる。
複数の砲塔を持った戦車。
その巨体と武装は一見強力そうだが、機動力も低くコストもかかり、また砲塔1つあたりの装甲も薄くなってしまうなど欠点が多かった。
その結果多くは配備されなかったが、宣伝や広報では活躍し、また今日ではしばしば超兵器としてゲームのボスキャラもしくは強力なキャラとして扱われている。
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T-35重戦車性能 |
名前 |
T-35重戦車 |
開発国 |
ソ連 |
登場時期 |
1933年 |
主な兵装 |
16.5口径76.2mm戦車砲、42口径45mm戦車砲2門、7.62mm機関銃6門 |
重量 |
45t |
速力 |
30km/h |
装甲 |
35mm |
乗員 |
11名 |
機関 |
4ストロークV型12気筒液冷ガソリン500hp |
備考 |
ソ連で開発された、数少ない実配備にこぎつけた多砲塔戦車 |
参考 |
Wikipedia、戦車研究室 |
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重戦車を越える超大型戦車。世界各国が開発を考えていたがほとんどお蔵入りになった。
この種の戦車ではドイツの戦車"マウス"が著名だが途中で開発中止命令を出され、それでも独自に開発し続けたが量産はならず、結局試作に終わった。
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超重戦車マウス性能 |
名前 |
超重戦車マウス(Panzerkampfwagen Ⅷ Maus、Sd.Kfz 205) |
開発国 |
ドイツ |
登場時期 |
1943年 |
主な兵装 |
55口径12.8cm戦車砲、36.5口径7.5cm戦車砲、MG34 7.92mm機関銃 |
重量 |
188t |
速力 |
20km/h |
装甲 |
240~160mm |
乗員 |
5名 |
試作一号車機関 |
Daimler-Benz AG製 MB509 4ストロークV型12気筒水冷ガス・エレクトリック(ガソリン電気式)エンジン1080hp |
試作二号車機関 |
Daimler-Benz AG製 MB517 V型12気筒水冷ディーゼルエンジン1200hp(895kW) |
備考 |
ポルシェ博士の夢の電動駆動 |
参考 |
Wikipedia、戦車研究室 |
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当時の戦車の多くは対歩兵戦闘力を考慮したため、対戦車戦闘能力は低かった。
しかしWW2の勃発で対戦車戦闘の機会が増え攻撃力不足が表面化してくると、各国は中戦車を圧倒できる重武装・重装甲の重戦車の開発を進めていった。
重戦車は投入後戦果を次々と上げていったが、コストは高く量産には不向きで、整備性も劣悪だったため、その後中戦車の進化や対戦車兵器の発達、航空機の活躍により徐々に姿を消していった。
なお今日の戦車は中戦車の進化形とされているが、砲の大型化や重装甲化に伴いこうした重戦車に近くなっている。
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KV-1、KV-2、VI号戦車性能 |
名前 |
KV-1(KV) |
開発国 |
ソ連 |
登場時期 |
1939年 |
主な兵装 |
41.5口径76.2mm戦車砲、7.62mm機関銃3丁 |
重量 |
45t |
速力 |
35km/h |
装甲 |
90mm |
乗員 |
5名 |
機関 |
4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル600hp/2150rpm |
備考 |
初期の独ソ戦では化物と言われた |
参考 |
Wikipedia |
名前 |
KV-2 |
開発国 |
ソ連 |
登場時期 |
1940年 |
主な兵装 |
20口径152mm榴弾砲、7.62mm機関銃3丁 |
重量 |
52t |
速力 |
34km/h |
装甲 |
110mm |
乗員 |
6名 |
機関 |
4ストロークV型12気筒液冷ディーゼル550hp2150rpm |
備考 |
ぶっちゃけ自走榴弾砲。基本は陣地攻撃 |
参考 |
Wikipedia |
名前 |
VI号重戦車ティーガーII(装甲戦闘車両ティーガー Sd.Kfz.182 B型)(ケーニヒスティーガー) |
開発国 |
ドイツ |
登場時期 |
1943年 |
主な兵装 |
71口径8.8cm戦車砲、7.92mm機関銃×2丁 |
重量 |
69.8t |
速力 |
38km/h |
装甲 |
40~180mm |
乗員 |
5名 |
機関 |
4ストロークV型12気筒液冷ガソリン700hp(520kW)/3000rpm |
備考 |
当時は如何にしても正面装甲を打ち破れなかったと言われる |
参考 |
Wikipedia |
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軽戦車と重戦車の間に位置するが、明確な定義はない。
一般に重戦車より機動力・コスト面で優れ、軽戦車より装甲が優れているものを言う。WW2で大きく変貌を遂げたことから、同時代では最も進化した戦車と言える。
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九七式中戦車、M2中戦車、M4A6中戦車、IV号中戦車H型、V号中戦車G型、T-34中戦車1943年型、40MトゥランI中戦車 |
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火力や装甲を低くした代わりに機動力やコストの安さを求めた戦車。騎兵戦車や豆戦車などとの区別は曖昧。
現代の装甲戦闘車に近く、中戦車に匹敵する火力を備えた物もあったが、基本的に対歩兵戦闘や偵察、植民地警備などに用いられた。
中戦車より軽いことから脆弱な地盤でも行動でき、また水陸両用戦車や空挺戦車などとしても開発された。
WW2以後は対戦車兵器の発達や歩兵戦闘車の登場で少なくなったが、機動性やコスト面から、使用している国も少なくない。また低烈度紛争への迅速な空輸を目的とし、かつ戦闘能力を重視した戦闘車両を、現代の軽戦車・豆戦車ないしそれに近い物と考える場合もある。
戦車というよりも装甲戦闘車に近い戦車。装甲は機関銃に耐えられる程度で、また自身の兵装も機関銃が主流。
治安維持用の警備から単なる牽引車両、連絡車両などに用いられ、重宝された。現代でも豆戦車に近い運用をされている戦闘車両はあるが、少なくとも先進国でかつてのような豆戦車を大々的に配備し続けている国は無いと思われる。
軽戦車との区別は曖昧。
- 巡航戦車(騎兵戦車)
- 歩兵戦車
- 駆逐戦車
- 対空戦車(高射砲)
- 偵察戦車
- 火炎放射戦車
- 空挺戦車
- 水陸両用戦車
- 支援戦車(指揮戦車、通信戦車、戦車回収戦車、架橋戦車、地雷処理戦車、救急戦車、輸送戦車)
第一世代
第二世代
第三世代
第四世代
装甲車
- 歩兵戦闘車(装甲戦闘車)
- 装甲兵員輸送車(装甲人員輸送車)
- 装甲偵察車(偵察警戒車)
- 装甲指揮車
- 軽装甲車両
一般には小銃弾程度から、重機関銃、対戦車地雷まで防げる比較的軽度な装甲を持つ車両を指す。
装甲レベルについては基準があり、NATO企画については以下を参照されたい。
参考 下総ミリタリースクエア http://d.hatena.ne.jp/dragoner/20090117
自走砲
- 砲戦車
- 突撃砲
- 加農砲(カノン砲)
- 臼砲
- 歩兵砲
- 榴弾砲
- 対空砲(高射砲)
- 無反動砲
- 迫撃砲
ロケット砲
支援車両
輸送車両(トラック)
マルゴ車
牽引車両
特殊車両
- 雪上車
- 野外陣営車両
- 地雷処理車両
- 給弾車両
- 気象観測車両
気球係留車
その他
植柱車、延線車、
オートバイ
列車
鉄道とは一定の軌道上を走行する交通・運搬システムを指す。
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詳細 |
鉄製のレール上を走る蒸気機関車や電車を普通指すが、紀元前600年頃にはギリシャで溝に沿い走る荷馬車が存在していた。脱線防止目的だったが、これが鉄道の原初と言える。
その後は木製レールに代わり、18世紀には鉄製レールに変わったが動力源は依然として馬か牛などであり、蒸気機関車が普及するようになるのは鉄製レールや蒸気機関車の改良が進んだ19世紀以降の話となる。この19世紀は鉄道が急速に拡大した時代でもあり、欧米はもちろんのこと植民地やアジアにも鉄道建設の波が押し寄せ、またかのシベリア鉄道も19世紀末に建設が開始された。
現代では過密な都市交通を支える一大交通システムであり、地方を結ぶ重要な血脈であり、新幹線を初めとする高速鉄道は経済活性化に大きく貢献している。
そもそも鉄道は鉱山などで活躍する貨物運搬に始まり、特に消費が激しくなった近代ではその輸送力で国家を支えた。
一方でその巨大な輸送力は同じく消費が激しくなった近代戦争にとっても重要で、大量の兵士・物資を迅速に前線に運搬できる手段でもあった。その為に国家主導での経営・建設が行われ、またそうした経緯から植民地での鉄道経営権・敷設権を握る事は=支配権の確立に繋がった。
今日では道路整備が進み、自動車が普及し、航空機でどこでも高速に移動できるようになったため、かつてより鉄道の重要度は低下している。
鉄道はその性質上レールの爆破程度で運行不能になり、待ち伏せもされやすい。航空機からの攻撃にも脆弱でまた決まった場所以外には運搬できないという不自由さがある。なにより道があるだけで行動できる自動車、広場さえあれば着陸できるヘリコプターと違い、その建設・運営コストは非常に高額。
しかし陸上交通ではトラックよりも遙かに多く、高速に物を運べる鉄道は現代戦争にも十分に通じる存在であり、重要なものである事に変わりはない。
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鉄道はその性質から重量分散をしやすく、自動車では不可能なほど巨大な砲を運用する事が可能。
火砲
大砲
- 加農砲(カノン砲)
- 歩兵砲
- 対空砲(高射砲)
- 対戦車砲(速射砲)
WW2ドイツの8.8cmFlaK(88mm高射砲)が対戦車戦で活躍した事が有名だが、これは当初から水平射撃も可能な(つまり野戦使用も視野に入れた両用砲)設計だったからであり、徹甲弾の使用や駐退機の耐久性、そもそも水平射撃を考慮に入れていない単なる高射砲の場合は、対戦車戦闘はほぼ不可能と言って良い。
臼砲や山砲といった分類ではなく軽量な大砲についてをそう称する。軽量榴弾砲など。
輸送が困難な山岳地帯や空輸先で使用される牽引砲、山砲と明確な差はないが、そうした従来の砲と同等またはそれ以上の性能を有し、ものによっては半分以下の重量を持つ物が多い。現代における『巡洋艦』『駆逐艦』のように、要は扱い方や開発意思に依るところが大きい。
空輸できるなど扱いやすいことから多くの国で導入され、空挺部隊や軽装歩兵部隊などで使用されている。
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L118 105mm榴弾砲性能 |
名前 |
L118 105mm榴弾砲(L118 Light gun) |
開発国 |
イギリス |
登場時期 |
1975年 |
主な兵装 |
30口径105mm軽量榴弾砲 |
形態 |
牽引砲 |
重量 |
1,858kg |
全長 |
8.8m(展開時) |
射程 |
17,200m |
初速 |
709m/s |
発射速度 |
8発/分 |
弾丸重量 |
HE弾なら15.1kg |
人員 |
6名 |
備考 |
155mmのM114より射程が長い。後継はM119 |
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Light gunとするのはM119との区別を図るためという話もある(詳細不明) |
参考 |
Wikipedia、British Army、青葉山軍事図書館 |
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機関砲
特殊砲
- 列車砲
- ロケット砲
- 擲弾銃(グレネードランチャー)
- 原子砲
火器
拳銃
小銃(自動小銃)
- ライフル銃(ボルトアクション)
- 突撃銃(アサルトライフル)
- 騎兵銃(カービン)
狙撃銃
対戦車ライフル(対物ライフル)
機関銃
- 機関短銃(機関拳銃)
- 短機関銃
- 軽機関銃
- 重機関銃
- 汎用機関銃(分隊支援火器)
マスケット銃(火縄銃)
散弾銃
ライフルグレネード(小銃擲弾)
手榴弾
地雷
誘導弾(ミサイル)
地対空ミサイル
- 携行ミサイル
- 戦術級ミサイル
- 戦略級ミサイル
- 対弾道弾ミサイル
地対地ミサイル
地対艦ミサイル
多目的ミサイル
航空機
回転翼機
- 戦闘ヘリ
- 対戦車ヘリ(攻撃ヘリ)
- 汎用ヘリ
- 輸送ヘリ
- 観測ヘリ(偵察ヘリ)
- 練習ヘリ
固定翼機
その他航空機
情報・器材
- 情報処理システム
- 指揮管制システム
- レーダー
- 無線
- 気象観測機器
- NBC戦装備
最終更新:2009年01月13日 18:38